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遺 伝
亡き父はそそっかしい男であった。
傘や靴を間違えるのは茶飯事で
庭木の予防薬のつもりが除草剤を撒いて全滅させたり
犬を散歩に連れていって垣根に繋いだまま忘れて帰ったり
そのくせ多趣味な男で、なんにでも首をつっこんで
墨絵もそのうちの一つであった。
ある朝のこと「爺様が目から血を出して、見えんち言いよる!!」
と母が血相を変えて私を起こしに来た。
何事かと問えば「まぶたがべたべたひっついて開かんどんげすかい」と父。
で、あ~だこうだと聞けば昨夜就寝前に目薬を差したと・・・
確認すれば何とこれが朱色の墨汁。
これが医者にもらった目薬の容器とそっくり、寝る前の暗い中で間違って
目に差したらしい。<本人は当初シラを切ったが
家族中開いた口が塞がらなかったが、とりあえず医者に連れて行き洗浄、
看護婦が肩を震わせ笑いを堪えていた。
「・・・ったくバカ親父がぁ」と私はそのとき嘆いていた。

んで時は過ぎ十日前のこと
私は風邪をこじらせて喉をガラガラに痛め、ルイアーム・ストロングみた
いな声になっちまって、スプレー式の喉薬を差しておった。
ほいで、↑にならって寝る前にシュ~、シュ~と喉に・・・ちょっといつ
もと味が違った気がしたが、まんま寝ましたとさ。
それから30分したらあ~た。口内ヒリヒリ、鼻はカッカッ
喉から火を吹く痛さ!
なんじゃこりゃと飛び起きて灯りを点けて見れば、なんとそこには殺虫剤
これが一晩に一回シュ~すれば、虫は一切寄ってこないという強力なやつ!

バケツ一杯のうがいをしたけど結局朝まで痛さを我慢して病院へ
訳を話せば、そこいらの看護婦が肩を震わせて笑っていやがった。
「・・・ったくバカ親父がぁ」と帰りの車の中で娘が嘆いていた。

「左-喉スプレー   右-殺虫剤」
b0177313_18313248.jpg
「全然違うじゃん」と言うことなかれ
暗闇じゃ分からんのだ

Top▲ | by ken9892 | 2012-06-22 19:29

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